『ソフトアクチュエータの
材料・構成・応用技術』
【刊行日】 2016年11月8日 【体裁】 A4判,ソフトカバー,375頁
【定価】 70,200円(税込)
【発行】 S&T出版株式会社
安積欣志 産業技術総合研究所
奥崎秀典 山梨大学
鈴森康一 東京工業大学
奥崎秀典( 山梨大学) / 安積欣志(産業技術総合研究所) / 鈴森康一(東京工業大学) / 渡辺敏行(東京農工大学) / 須丸公雄(産業技術総合研究所)
/ 高木俊之(産業技術総合研究所) / 杉浦慎治(産業技術総合研究所) / 金森敏幸(産業技術総合研究所) / 三俣哲(新潟大学) / 金娟秀(東京大学)
/ 秋元文(東京大学) / 吉田亮(東京大学) / 石田康博(理化学研究所) / 竹岡敬和(名古屋大学) / 平井利博(信州大学) / 千葉正毅(千葉科学研究所)
/ 田實佳郎(関西大学) / 佐藤正樹(山梨大学) / 浦山健治(京都工芸繊維大学) / 伊原正(鈴鹿医療科学大学) / 中村太郎(鈴鹿医療科学大学)
/ 橋本稔(信州大学) / 釜道紀浩(東京電機大学) / 高木賢太郎(名古屋大学) / 明愛国(電気通信大学) / 山本晃生(東京大学) /
和氣美紀夫(㈲Wits) / 庄司英一(福井大学) / 脇元修一(岡山大学) / 桝田晃司(東京農工大学) / 豊田晃央(㈱ソフトメカ) /
三井和幸(東京電機大学) / 谷口浩成(大阪工業大学) / 小林宏(東京理科大学/ ㈱イノフィス) / 西岡靖貴(滋賀県立大学) / 中村太郎(中央大学)
竹村研治郎(慶應義塾大学) / 木下晴之(東京大学) / 藤井輝夫(東京大学) / 塚越秀行(東京工業大学) / 車谷駿一(東京工業大学) /
木村仁(東京工業大学) / 佐々木廉(北海道大学) / 佐田和己(北海道大学) / 角五彰(北海道大学) / 藤里俊哉(大阪工業大学) / 高木空(大阪工業大学)
/ 中村友浩(大阪工業大学) / 筒井博司(大阪工業大学) / 佐野健一(日本工業大学) / 川村隆三(埼玉大学) / 長田義仁(理化学研究所)
ソフトアクチュエータとは、軽量で柔軟な材料が変形することによりアクチュエータとして機能する材料、素子、デバイスのことである。これらソフトアクチュエータは人工筋肉とも呼ばれ、小型軽量、様々な駆動源、無音、極限条件・水中や大気中で動くなどの特徴があり、近年、開発が求められているリハビリや介護あるいは作業補助用のパワーアシスト用ウエアラブルロボットや医療手術支援ロボットなどのアクチュエータとして大きな期待がかけられている。このことは、2015年1月に経産省から発表された「ロボット新戦略」の中にも「高分子型軽量人工筋肉やそうした非線形性の高いシステムをスムーズに制御する制御理論」の研究開発が求められていることからも伺える。
現在、研究開発が進められているソフトアクチュエータは様々な材料、駆動原理からなるが、本書ではその中で最も実用化に近い「ポリマー材料によるソフトアクチュエータデバイス」(第1部)及び「流体制御によるソフトアクチュエータデバイス」(第2部)を中心に、将来のソフトアクチュエータ技術として大きな期待が寄せられている「バイオ材料によるソフトアクチュエータデバイス」(第3部)を取り上げ、今後用途が広がると考えられる材料やデバイス、及びそれらの応用の最新の研究開発事例について、本分野の第一線で活躍されている大学・研究機関や企業の研究者・技術者の方々に分担執筆していただいた。さらに、序章において監修者3名によるソフトアクチュエータ材料、デバイス開発、及び市場開発動向に関する総論を加え、ソフトアクチュエータ開発の現況をご理解いただける様にした。
ソフトアクチュエータは本書の目次をご覧になるとお分かりいただける様に、学問的には高分子科学、材料科学、電気工学、機械工学、ロボット工学、制御工学、生物物理学などの広範な分野にまたがった学術領域を形成しつつあるとともに、応用分野としても、オートフォーカスや手術デバイス、バイオチップなどの医療デバイスから介護やリハビリ用ウエアラブルロボット、さらに自動車車両分野、ユーザーインターフェース、センサー、発電等、多岐にわたって実用化が期待されている。本書はその広範にわたるソフトアクチュエータの最新技術を1冊にまとめたもので、ソフトアクチュエータに関連した開発にご関心のある技術者、研究者の方には手に取っていただいて必ず役に立つと確信している。(監修者 はじめに)
<序 ソフトアクチュエータ-総論>
第1節 ソフトアクチュエータ材料の進歩と現状
1 はじめに
2 高分子ゲルアクチュエータ
3 導電性高分子アクチュエータ
4 エラストマーアクチュエータ
5 カーボンナノチューブアクチュエータ
6 ナノバイオマシン
7 おわりに
第2節 ソフトアクチュエータ材料の市場開発動向
1 はじめに
2 電気駆動高分子アクチュエータ材料とその特徴
3 公開特許から見た分野
4 今後の展望
第3節 ソフトアクチュエータのロボット・デバイス開発の現状
1 ソフトロボットの背景
2 ソフトロボットで何ができるのか
3 ソフトアクチュエータのロボット・デバイス開発の例
<第1部 ポリマー材料によるソフトアクチュエータデバイスとその応用>
第1章 ポリマーゲルによるソフトアクチュエータデバイスの実用化とその課題
第1節 光応答型高分子ゲルアクチュエータ
1 はじめに
2 光応答性部位の設計
3 分子レベルの変形を如何にマクロな変形へとシンクロさせるか
4 光応答性高分子ゲルの光応答挙動
5 おわりに
第2節 光応答スピロピランゲルアクチュエータ
1 緒言
2 光応答の素過程
3 微小パターン照射によるシート表面形状制御
4 マイクロ流路の光オンデマンド制御
5 ロッド状ゲルアクチュエータの光屈曲制御
6 展望と課題
第3節 磁場応答性ソフトアクチュエータ
1 はじめに
2 磁性ソフトアクチュエータ
3 磁性ゲルの可変粘弾性
4 磁性エラストマーの可変粘弾性
5 おわりに
第4節 自励振動ゲルアクチュエータ
1 はじめに
2 自励振動ゲルの設計とゲルの物理化学構造デザインによる自励振動挙動の制御
3 高分子溶液および微粒子懸濁液の透過率振動および粘性振動
4 生体模倣アクチュエータへの応用
5 自動物質輸送システムの構築
6 細胞のような複雑な形状振動を示す自励振動架橋ベシクル・コロイドソーム
7 アメーバ運動のようなゾル/ゲル転移を生起させるための自励振動高分子設計
8 おわりに
第5節 体積一定で駆動するヒドロゲルアクチュエータ:水の出入りを伴わない,高速かつ異方的な大変形
1 はじめに
2 着想の元となった研究:磁場配向した酸化チタンを内包するヒドロゲルの力学物性
3 アクチュエータへの応用展開:磁場配向した酸化チタンを内包するヒドロゲルの変形特性
4 おわりに
第6節 ポリロタキサンを用いた架橋剤の開発と高分子ゲル・ソフトアクチュエータへの応用
1 刺激応答性高分子ゲルを力学的に高機能化するために
2 ポリロタキサンを架橋剤とする刺激応答性高分子ゲル
第2章 電気駆動ポリマーによるソフトアクチュエータデバイスの実用化とその課題
第1節 誘電ポリマーゲルアクチュエータ
1 はじめに
2 誘電ポリマーゲルとは
3 誘電ポリマーゲルに電場を印加すると何が起こるか
4 誘電ポリマーゲルの電場駆動材としての欠点とその対策は何か
5 誘電エラストマーの可能性
6 可塑化ポリマーと溶媒膨潤型ゲルの相違点
7 誘電性の可塑化ポリマーゲルの性能と可能性
8 まとめにかえて
第2節 誘電エラストマーアクチュエータ
1 はじめに
2 誘電エラストマーとは
3 DE の研究・開発状況
4 DE センサー
5 DE 発電(ロボットのバックアップ電源等)
6 DE の未来
第3節 圧電ポリマアクチュエータ
1 はじめに
2 圧電性
3 アクチュエータ材料として観た圧電ポリマの特徴
4 圧電ポリマアクチュエータの特徴ある開発事例
5 おわりに
第4節 空中電場駆動型導電性高分子アクチュエータ
1 はじめに
2 実験
3 フィルムの特性
4 アクチュエータ特性
5 おわりに
第5節 ナノカーボン,金属,金属酸化物を電極材とする電気駆動ポリマーアクチュエータ
1 はじめに
2 デバイス構成
3 材料と作製法
4 駆動モデル
5 応用
6 まとめと今後の展望
第6節 液晶エラストマー・液晶ゲルの電場駆動
1 はじめに
2 LCE の電場応答挙動
3 LC ゲルの電場駆動
4 おわりに
第3章 ロボットへの応用-医療分野
第1節 高分子電解質膜を用いた医療用アクチュエータ
1 はじめに
2 高分子電解質膜の医療応用
3 イオンポリマーメタル複合体による高分子電解質アクチュエータの生成方法
4 IPMC の発生張力
5 IPMC の医療応用モデル
6 高分子電解質膜アクチュエータの電気化学特性とセンサ応用
7 まとめ:高分子電解質膜を用いた医療用アクチュエータ
第2節 ソフトロボティックデバイス“PVCGEL”の開発と医療応用
1 はじめに
2 PVC ゲルの電気刺激応答
3 積層型“PVCGEL”の構造と特性
4 フレキシブルシート型“PVCGEL”の構造と特性
5 テキスタイル型“PVCGEL”の構造と特性
6 医療福祉分野への応用
7 おわりに
第4章 ロボットへの応用-生物模倣
第1節 イオン導電性高分子センサ/アクチュエータ統合システムとヘビ型推進ロボットへの応用
1 センサ/アクチュエータ機能を有する高分子材料v
2 Ionic polymer-metal composite(IPMC)
3 ヘビ型推進ロボットへの応用
第2節 イオン導電性高分子アクチュエータ水中生物模倣ロボット
1 はじめに
2 IPMC を用いた水中ロボット
3 ヘビ型ロボットの振幅増大現象について:ヘビや魚は効率的な推進のために筋肉の弾性を利用しているか?
4 歩行ロボットやその他の生物模倣ロボット
5 おわりに
第3節 圧電繊維複合材料を用いた生物模倣型ソフト水中ロボットの研究開発
1 はじめに
2 圧電繊維複合材料
3 生物模倣型ソフト水中ロボットへの応用
4 おわりに
第5章 ロボットへの応用-デバイス・その他
第1節 可撓性を有する静電フィルムアクチュエータとその応用
1 はじめに
2 静電フィルムモータ
3 静電吸着機構との統合
4 おわりに
第2節 誘電エラストマートランデューサーの応用
1 はじめに
2 開発背景
3 アクチュエータ・センサーへの応用例
4 発電デバイスへの応用
5 最後に
第3節 高分子アクチュエータのパルス幅変調制御による運動性の制御
1 はじめに
2 高分子アクチュエータの作製
3 計測装置と制御装置について
4 PWM による高分子アクチュエータの制御原理
5 おわりに
<第2部 流体制御によるソフトアクチュエータデバイスとその応用>
第6章 ロボットへの応用-医療分野
第1節 空気圧ソフトアクチュエータの医療検査機器への応用
1 はじめに
2 大腸内視鏡挿入支援アクチュエータ
3 胃X 線検査用腹部圧迫ソフトメカニズム
4 おわりに
第2節 空気圧アクチュエータを用いた超音波プローブ走査機構の開発と撮像断面の位置制御
1 はじめに
2 空気圧アクチュエータと駆動システム
3 プローブ走査機構の構成
4 プローブ走査機構の制御系
5 プローブの位置決め精度検証
6 本機構の応用
7 まとめ
第3節 ラバーアクチュエータを用いた心臓補助装置
1 はじめに
2 心臓補助装置への応用
3 ミルキングアクションアシスト装置への展開
4 まとめ
第7章 ロボットへの応用-福祉分野
第1節 ソフトアクチュエータのリハビリ応用
1 はじめに
2 手指関節の拘縮予防リハビリ装置の検討
3 手指関節の拘縮予防リハビリ装置の試作
4 動作確認試験
5 おわりに
第2節 空気圧ゴムアクチュエータを用いたマッスルスーツ(R)
1 はじめに
2 McKibben 型人工筋肉
3 腰補助用マッスルスーツ
4 機能回復訓練(リハビリ)での利用
5 スタンドアローンモデル
6 おわりに
第3節 プリーツアクチュエータとその応用
1 はじめに
2 プリーツアクチュエータ
3 プリーツアクチュエータの応用例
4 おわりに
第8章 ロボットへの応用-公共分野
第1節 軸方向繊維強化型空気圧ゴム人工筋肉の開発とロボットシステムへの応用
1 はじめに
2 空気圧ゴム人工筋肉とは?
3 空気圧ゴム人工筋肉の特徴と種類
4 軸方向繊維強化型人工筋肉の基本特性
5 空気圧ゴム人工筋肉のマニピュレータへの応用
第2節 空圧ソフトラバーアクチュエータを用いたマイクロロボット
1 はじめに
2 フレキシブルマイクロアクチュエータ
3 バブラアクチュエータ
4 ジャバラ型マイクロロボットハンド
第9章 ロボットへの応用-生物模倣
第1節 電界共役流体を用いたアクチュエータとソフトロボットへの応用
1 電界共役流体
2 人工筋アクチュエータ
3 フレキシブルハンド
4 シャクトリムシ型ロボット
5 まとめ
第2節 マイクロハイドローリックアクチュエータによるソフトロボット
1 はじめに
2 マイクロハイドローリクスとは
3 基本動作
4 埋め込み型電気浸透流ポンプ
5 電源制御回路
6 圧力源一体型アクチュエータ
7 自立動作の実証
第3節 Wound Tube Actuator
1 はじめに
2 構造と動作原理
3 特性
4 応用
5 おわりに
第4節 細径人工筋を用いた筋骨格ロボット
1 はじめに
2 細径人工筋
3 多繊維構造人工筋
4 細径人工筋を用いた筋骨格ロボット
5 おわりに
第5節 水力学的骨格を利用した柔軟なアクチュエータと狭隘地形移動ロボット
1 はじめに
2 柔軟袋状構造の強度と発生力
3 周期的動作に特化した多分岐型小型機械式弁「MACS-VALVE」
4 密閉二重ループ構造の柔軟移動ロボット「MOLOOP」
5 柔軟繊毛アクチュエータを用いた移動ロボット
6 まとめ
<第3部 バイオ材料によるソフトアクチュエータデバイスとその応用>
第1節 生体分子モーターを用いた群ロボット用
1 はじめに
2 生体外における生体分子モーターの運動発現手法
3 アクチン/ ミオシン系
4 微小管/ キネシン系
5 おわりに
第2節 組織工学技術を用いたバイオアクチュエータ
1 はじめに
2 骨格筋とアクチュエータ
3 筋細胞を用いたバイオアクチュエータ
4 我々の培養骨格筋
5 培養骨格筋の収縮力
6 バイオアクチュエータ
7 今後の課題
8 おわりに
第3節 トレッドミルバイオアクチュエータ
1 はじめに
2 細胞運動とトレッドミル
3 トレッドミルバイオアクチュエータ研究
4 超高分子階層性ゲルによるトレッドミルアクチュエータへの応用の試み
5 リニアモータタンパク質による超高分子階層性ゲルの駆動
6 おわりに
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