自動運転・運転支援の実現に向けたセンサ開発

商品コード:T1144

刊行:2020年3月10日 / 体裁:B5判、278頁 / 価格:69,300円(税込)

発行:株式会社シーエムシー出版 / ISBNコード:978-4-7813-1498-3

 購入
 ★刊行にあたって★
 近年、高齢者による交通事故の報道とともに自動運転に関する話題も多く取り上げられるようになり、社会の自動運転についての関心が高まっているように思われる。国が推進する将来目標とすべき社会Society-5.0においても自動運転は重要な技術項目として位置づけられている。自動運転は運転負荷の低減やヒューマンエラーに起因する交通事故の撲滅を実現するという観点からだけではなく、運輸・物流産業の効率化や過疎地域における交通手段の確保など様々な社会課題への対応が期待されている。但し、自動運転を実現するための車載センサについては現在もいろいろな検討が行われており、現在様々な模索が続けられている。
 自動運転やそれに先行する先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver-Assistance Systems)については、1991年からこれまで行われてきた先進安全自動車(ASV:Advanced Safety Vehicle)プロジェクトにおいて、多くの安全システム及びそれに用いられている車載センサも検討されてきた。これらの安全システムで重要な役割を果たすのが、障害物や走路などの外界環境を認識するためのセンサで、主としてカメラ、ミリ波レーダ、LiDARなどが用いられる。今後の自動運転実現に向けては,これらセンサの高性能化,
小型化、低価格化が不可欠である。さらに、数種類のセンサを用いて認識性能を向上させるセンサ・フュージョン技術,センサ・データから多様な対象物を識別するための高度な画像処理技術も重要性を増している。
 このような背景から、本書籍では外部環境認識用センサのメーカーならびに、そのユーザーである自動車メーカーの両者にとって参考となる技術情報を提供するために、それぞれの分野の専門家に執筆を依頼し、センサごとに編を設けて開発動向を取り上げるとともに、開発実例を紹介することとした。
  室 英夫(本書「刊行にあたって」より抜粋)


<執筆者>

 室 英夫   (一社)次世代センサ協議会
 青木啓二   先進モビリティ株式会社
 ミヒャエル ライヒェル  Elektrobit
 マリオ アイグナー  TomTom
 秋田時彦   豊田工業大学
 吉田康太   立命館大学
 藤野 毅   立命館大学
 宮内 輝   東京農工大学
 毛利 宏   東京農工大学
 木股雅章   立命館大学
 横井 暁   株式会社JVCケンウッド
 高橋 潤   株式会社JVCケンウッド
 鴇田成俊   株式会社JVCケンウッド
 梶原昭博   北九州市立大学
 時枝幸伸   JRCモビリティ株式会社
 星 将広   JRCモビリティ株式会社
 井上賢一   キーサイト・テクノロジー株式会社
 米陀佳祐   金沢大学
 桑山哲郎   元・キヤノン:千葉大学
 伊東敏夫   芝浦工業大学
 羽根一博   東北大学

<目次>
【総論―自動運転とセンシング技術―】
第1章 自動車用センサの基本と開発動向

 1 はじめに
 2 自動車用センサの概要
 3 機械式センサから電子式センサへ
 4 バルクマイクロマシニングから表面マイクロマシンニングへ
 5 自動車用センサの今後の動向
第2章 自動運転技術の開発動向と実用化に向けた課題
 1 自動運転車の開発動向
  1.1 短距離移動用モビリティの自動運転車開発動向
  1.2 路線バスの自動運転開発動向
  1.3 トラックの自動運転開発動向
 2 自動運転技術の開発状況
  2.1 高精度測位技術の動向と課題
   2.1.1 高精度衛星利用測位技術について
   2.1.2 LiDAR SLAM技術について
   2.1.3 磁気マーカシステムによる測位技術について
   2.1.4 その他の測位技術について
  2.2 障害物検出技術
  2.3 信号器現示情報の検出
 3 電子牽引隊列走行技術
  3.1 電子牽引隊列走行のコンセプト
  3.2 電子牽引後続無人隊列走行システムの機能と制御技術
   3.2.1 車間距離制御技術
   3.2.2 先頭車トラッキング制御技術
  3.3 実証実験について
 4 自動運転車における課題
第3章 HDマップとADASISで自動運転のビジョンを拡張
 1 自動運転とそのユースケース
 2 ADASとADマップのメリット
  2.1 ADAS・ADに向けたTomTomのマップポートフォリオ
  2.2 HDマップの構築とメンテナンス,供給
 3 ADASIS―車両全体にわたるマップ配信のための仕様
  3.1 ADASIS v2
  3.2 ADASIS v3
  3.3 TomTomとエレクトロビットが初めてADASIS v3を実装
  3.4 ADASIS v2とv3の両立
 4 安全への考慮
 5 開発のスタート
 6 要点

【カメラ】
第4章 自動運転・運転支援に使われる画像認識技術と車載カメラへの要求・課題

 1 はじめに
 2 画像認識で実現可能な各種機能
 3 各種認識技術
  3.1 レーン認識
  3.2 接近車,接近・移動歩行者認識
  3.3 車両・歩行者認識
  3.4 駐車空間認識
 4 車載カメラへの要求・課題
 5 まとめ
第5章 深層学習技術を用いたRGB-FIRカメラセンサフュージョンによる車載向け物体認識
 1 はじめに
 2 可視光画像と遠赤外線画像の違い
 3 関連研究
  3.1 自動車の物体認識システム評価のためのRGB-FIR画像データセット
  3.2 RGB-FIRカメラセンサフュージョンのための畳み込みニューラルネットワーク構造
 4 実験環境
  4.1 RGB-FIRカメラ
  4.2 データセットの作成
  4.3 実験環境
 5 実験結果
 6 おわりに
第6章 単眼カメラおよび内界センサを用いた自動運転環境に向けたVisualSLAM手法の提案
 1 緒言
 2 NDTスキャンマッチング
 3 ORBSLAM
 4 提案手法
 5 実験,評価
 6 結言
第7章 車載ナイトビジョンシステムの開発動向
 1 はじめに 
 2 非冷却赤外線イメージセンサ
  2.1 基本技術
  2.2 開発動向
 3 車載赤外線NVS
  3.1 開発動向
  3.2 ビジネス動向
 4 おわりに
第8章 遠赤外線カメラを用いた車載用認識システムの開発
 1 はじめに
 2 開発目標と特徴
 3 開発事例
  3.1 新開発レンズによる小型カメラユニット
  3.2 画像認識システム開発
 4 FIRカメラの優位性と固有の機能
  4.1 市街地
  4.2 ヘッドライトの逆光
  4.3 昼間の有効性
 5 まとめ

【ミリ波レーダー】
第9章 車載用ミリ波センシングの技術動向と更なる高機能化技術

 1 はじめに
 2 車載用レーダの課題
 3 周辺監視技術
  3.1 距離検出
  3.2 方位検出
  3.3 速度検出
  3.4 特徴量抽出
 4 車載レーダの高度化技術
 5 周辺監視と位置特定技術
第10章 ミリ波レーダを用いた物標識別の検討
 1 はじめに
 2 ミリ波レーダによる物標識別
  2.1 レーダ検知処理
  2.2 物標識別処理
 3 評価結果
  3.1 特徴量の有効性
  3.2 屋外識別実験
 4 まとめ
第11章 車載ミリ波レーダーの測定
 1 はじめに
 2 接続インターフェース
  2.1 接続インターフェースの選択
  2.2 1 mmコネクタの取り扱い
  2.3 導波管
  2.4 OTA
 3 レーダーモジュール測定
  3.1 送信信号スペクトラム測定
  3.2 ピークパワー測定
  3.3 スプリアス測定
  3.4 送信信号変調解析
  3.5 レーダー性能評価
  3.6 干渉信号

【LiDAR】
第12章 自動運転におけるLiDARによる周辺認識

 1 LiDARの自動運転システムへの応用
 2 LiDARを用いた高精細地図生成技術と自己位置推定技術
 3 LiDARを用いた周辺物体認識
第13章 車載用3D計測器の動向―LiDARを中心として
 1 はじめに
 2 技術史の記録者・観察者として
 3 画像機器の技術史の知識から
 4 LiDAR(TOF)の特殊性と制約
 5 ステレオ計測に関連する話題
 6 その他の話題:単眼のカメラはLiDARを超える?
 7 おわりに
第14章 2D LiDARとカメラを組み合わせた3次元情報の推定手法
 1 はじめに
 2 従来研究
  2.1 LiDAR
  2.2 全周囲カメラ
 3 提案手法
 4 実験結果
 5 おわりに
第15章 MEMSミラーの原理,構造とLiDARへの応用
 1 はじめに
 2 マイクロミラースキャナの基本構造
  2.1 光学設計方針
  2.2 機械設計方針
 3 2次元スキャナの構成
 4 ラスタ走査と全方位走査
 5 MEMSスキャナの例
  5.1 ラスタ走査
  5.2 ジンバル型の全方位スキャナ
  5.3 ジンバルレス型の全方位スキャナ
 6 まとめ

【市場編】
第16章 自動運転用センサーの市場動向

 1 自動運転技術開発の現状
  1.1 自動運転車の定義と開発状況
  1.2 自動運転システムの普及状況
 2 自動運転用センサー市場の概要
  2.1 車載(イメージ)センサーの種類と機能
  2.2 車載センサーの市場規模
 3 車載カメラ市場の動向
  3.1 市場の概要
  3.2 市場動向
  3.3 車載カメラの主要メーカーと製品
 4 超音波センサー市場の動向
  4.1 市場の概要
  4.2 市場の動向
  4.3 超音波センサーの主要メーカーと製品
 5 ミリ波レーダー市場の動向
  5.1 市場の概要
  5.2 市場動向
  5.3 ミリ波レーダーの主要メーカーと製品
 6 LiDAR(レーザーレーダー)
  6.1 市場の概要
  6.2 市場の動向
  6.3 LiDARの主要メーカーと製品
 7 センサーフュージョン技術の動向
  7.1 技術の概要
  7.2 主要メーカーの動向
第17章 自動車メーカー各社のセンサー搭載動向
 1 国内メーカー
 2 海外メーカー
第18章 自動運転に関する法整備と実証実験
 1 法整備の状況
  1.1 海外の動向
 2 日本国内の動向
 3 国際道路交通安全条約と自動運転
 4 日本国内における主な実証実験
  4.1 行政の対応
  4.2 自動車メーカーその他事業者の対応
  4.3 自治体等の対応